時々ウィーン散策♪

2013.09.16

野分

 

野分、という言葉に出合ったのは
高校の古文の清少納言<枕草子>
台風の朝。
白い筋になってアスファルトに叩きつける雨。
街路樹をしならせる、うなる強風。
昔のように周りに野っぱらはないが
夏が終焉を迎え、秋めいてきたころ
野っぱらにはススキやらオミナエシやら葛やらが
茫茫と草叢になり、そこを分け入り、なぎ倒すほどの雨風。
まさに<野分>。この風景を古の都人も見て、茫然としたに違いない。
清少納言は<野分>の次の日、あはれ、と書いている。
そう、台風の後はすっきりした快晴になって
何事もなかったような天、下界は狼藉のすさまじさ。
人が片付ける前を切り取る文にひかれた。
現代は文明の利器が、次々に遠い街のリアルを映し出し
来るぞ、来るぞ、と警戒情報が流れだすのだが
自然に横着になった自分は、どこか他人事で冷めている。
さあ、これから来る台風に備えよう。

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