時々ウィーン散策♪
2013.09.14
ベルヴェデーレ宮殿
クリムトの<接吻>を見たいと希望すると、ベルヴェデーレ宮殿ね、と。
トラムという可愛い市電を降りて、門をはいると壮麗な宮殿。
フロアも階段もすべて大理石で、色のバリエーションの豊かに目を奪われる。
足早に階段を上っていく案内人に、遅れまじとついて行くと
古の王侯が住まわれた離宮の各部屋を繋ぐ大きなドアが開放され
壁にゆったりと絵画が掛けられている。
沢山の観光客が一緒に入場したのに、広大なのでいつのまにか一人になる。
濃密な時空間にたまに靴音が響いてくるのが心地いい。
壮麗で重厚な額縁の中に住まう繊細なレースで縁取られた貴人や
のどかな田園風景や森林ととめどもなく対話しながら進む。
すると、いよいよお目当てのシーレやクリムトの部屋へ。
ぐっと近代に戻ってきて、ゴージャスで退廃的で美しいもろさ。
<接吻>はまさにそんな感じで、今を求めあっている男女。
官能と破滅とあやうさ。金色のマントはリアルでない理想。
それに包まれた青白い若い男女の接吻は喜びより刹那で悲しい。
あまりに胸がつまるので窓から庭園を眺めると
ずーっと先まで敷き詰められた緑の絨毯に花で模様が描かれ
はるかかなたにウィーンの市街地が臨める。
ベルヴェデーレとは美しい眺め。
当の案内人は私の感傷につきあいたくないと
はなから美術館のカフェに。<ウィーンわが街>は素敵。
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